よくあるご質問。「なんでそんなに台湾が好きなんですか?」実ははじめから台湾が好きだったわけではないのです。むしろ、嫌いでした(笑)
初めて台湾に降り立ったのは2003年。ベトナムに行くのにトランジットで台北の空港に降りました。ところが運悪く台風が来ていて、そのまま空港で7時間近く足止め。空港の職員に何を聞いても要領を得ず、しかも態度は最悪。「何、この国!」と思いました。
ところがその翌年、ひょんなことから台湾旅行をすることに。とは言え、台湾にはあまりいい印象がなかったので、たいして期待していませんでした。しかも、空港に迎えに来てくれたガイドさんは、むかーしのヤクザ映画に出てくるような風貌。「いやだ。怖い・・・」
ところが!怖いのは見かけだけで、彼はとっても親切なガイドさんだったのです。あらかじめ決められたスケジュールをを無視して、私たちが行きたいところすべてに、タクシーでさささーっと連れて行ってくれました。しかも、行った先では「これ食べたこと(飲んだこと)ある?」といろいろなものを買ってくれました。
彼のおかげで、行きたかった観光地にはあらかた行けて、大満足の台湾初日。最後は「鼎泰豊」の本店まで送ってもらい、ガイドさんとお別れしました。
そして、私はこの「鼎泰豊」で運命の出会いを果たすのです。彼の名はブライアン。英語で「日本人ですか?」と聞かれ、少し言葉を交わした後メールアドレス(またスマホなどない時代だったので)を交換しました。
初めて食べた「鼎泰豊」の小籠包のおいしさに、私はすっかり感動。いや、有名店の料理だけでなく、街中のレストランでも何を食べてもおいしい。そして何より人が温かい。街中で見たことがない食べ物を見ていると試食させてくれたり、ちょっとでも迷ったそぶりを見せると自分の用事はそっちのけで道案内してくれたり。「台湾人ってなんていい人たちなんだ」と私は台湾人に魅了されました。
私は世界遺産を見て回ることをライフワークにしており、台湾に行く前に十数か国を回っていて、美しい景色やおいしい食べ物はたくさん知っていましたが、こんなに「人」が温かい国は初めてでした。
この初めての台湾旅行で台湾にほれ込んだ私は、その3ヶ月後にまた台湾に出かけました。そのときに「鼎泰豊」で出会ったブライアンに連絡したところ、なんと日本語を話せる友達と一緒に迎えに来てくれ、車がないと行けないような観光地にあちこち連れて行ってくれたのです。これには一緒に行った私の友達も感動。日本人だったら、レストランの待ち時間にちょっと話しただけの外国人のためにここまでしてくれませんよね。
以来二十年。台湾に行くたびにブライアンがいろいろな友達を紹介してくれたため、私の台湾朋友はどんどん増えていきました。ブライアンと出会わなければ、私の台湾旅行はここまで充実したものにはなっていなかったでしょう。
台湾朋友のおかげで、2013年には子連れ台湾短期留学も果たしました。留学したことで、私の台湾朋友はさらに増え、台湾に行けば「うちに泊まっていいよ」と言ってくれる友達がたくさんできました。もう私の人生において、台湾はなくてはならない存在になったのです。
数年前、ブライアンが結婚するとき、私は日本からスピーチをしに行きました。するとブライアンのママが私のことを覚えていてくれて、私が来たことをとても喜んでくれました。さらには、ブライアンの幼馴染や同級生、元同僚も声をかけてくれて、私はもう感無量でした。私は台湾人が大好きだーーーー!ブライアンと出会えて、本当によかった。
そして、もう一つ思い出深い出来事が。
台湾に通い始めて数年後。台北の空港でブライアンが迎えに来てくれるのを待っていると、外は大雨。1時間近く待ってもブライアンは来ません。心配になって電話をするけれど、お互い焦っているのでお互いの言っていることがわからない。困り果てて、空港のロビーに目をやると、なんと初めての台湾旅行でお世話になったガイドさんを発見。
私が大声で名前を呼ぶと(彼の名は今でも覚えている)、すぐに公衆電話のところに来てくれ、通訳をしてくれました。ガイドさんは私のことを覚えていなかったけれど、「数年前に初めて台湾に来たときに、あなたにとてもお世話になって、それ以来台湾が好きになった」と伝えると相好を崩して喜んでくれました。
広い空港のロビーで、ガイドさんと再会したことも、私にとっては台湾との縁を感じる出来事でした。これからまたどんなご縁が待っているのか、台湾に行くたびに心が弾みます。
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